私のシネマワールド

映画の事を中心に、気の向くままに書いております。

友だちのうちはどこ? いい映画でした。

               友だちのうちはどこ?

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             1987年のイラン映画  
友達のノートを間違えて持ち帰ってしまった少年が、ノートを返そうと奔走する姿を描き、1989年のロカルノ国際映画祭で数多くの賞を受賞した、今は亡きキアロスタミ監督の作品。           

 

                   (ストーリー)        

イランのコケール村に住む8歳の少年アハマッドは、学校から家に帰ると母親から、次から次へと用事を言いつけられます。

母親は「干してあるおしめを持って来て」と頼み、それがまだ乾いていないと「部屋から別のを持って来て」 取って来るのが遅いと「何してるの? 早く 赤ちゃんが風邪ひいちゃうわ」
その後は「2階に行って瓶にお湯をもらってきて」「お砂糖を2杯入れて」などとノンストップでのお手伝い依頼。(笑) 下の子はまだ赤ちゃんだし、お兄ちゃんであるアハマッドに家の手伝いをさせるのは悪い事ではないのですが~(-_-;)  せめて「今日は学校でどんな勉強したの?」ぐらい聞いて欲しいな~と思いました。この子は本当に素直に母親の言いつけに従ってるな~と感心することしかり。
 
 その後、宿題をする為に鞄を開けると、 友達のノートが出てきました。
どうやら自分が間違えて、そっくりな友達のノートを持って来てしまったようです。
あわてるアハマッド。 なぜなら友達のネマツァデはノートに宿題を書いて来なかった事で、その日も先生に叱られたばかりなのでした。
そしてすでに3回もその事が繰り返されているので、次にやったら退学だと言われて、友達は泣いていたのです。

 

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これは大変。アハマッドは母親に事情を話し、その子にノートを返しに行くと言いますが、母親はまるで聞く耳持たず。
遊びに行きたいわけじゃないよ、友達が困るんだ、自分が悪い、今日返しに行かないと退学になる。。。ほら、そっくりなノートでしょ?

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そう言って一生懸命説明するのですが、頑固な母親はまずは宿題のいってんばり。
宿題が終わったら、パン屋にパンを買いに行ってとまで言い出します。息子が友達を想う気持ちに理解を示さず、自分の用は問答無用で押し付ける母親。全く話が通じないんだな~と、ややこちらまでイライラするシーンでした。
                  どうしよう~と困り顔のアハマッド

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 ゆう事を聞かないとぶつよ…とゆう母親の脅し文句に渋々引き下がり宿題にとりかかりましたが、その後母親が赤ちゃんを抱いて部屋に行ったのを見ると、家を抜け出し、友達のノートを抱え、はるか遠くのポシュテ村へと向かったのです。
おーなかなかやるな。 急げ~急げ~と少年の走る姿を応援しながら見ていました。
起伏の多い道をひたすら走る姿が何とも可愛い。
 
友達の家はポシュテ村とゆう事しか知らな彼でしたが、ポシュテ村には区が4つある事を人から聞いてわかりました。、でもネマツァデの家がどの区にあるかさえ知りません。そんな時、偶然同級生のモルテザに会ったので、ネマツァデの家を知っているかと聞きました。彼はネマツァデの家は知らないが、彼の従兄のヘマティの家を知っていて、住んでる区や家の特徴を教えてくれました。
 本当はそのモルテザに案内してほしかったアハマッドでしたが、家の手伝いがあるから無理だと断られました。イランの子供達は、本当によく家の手伝いをしているのだなーと、重そうなミルクのタンクを運ぶモルテザを見て思いました。
 
とりあえず、そこを目指したアハマッドでしたが、なんと近所の人の話では一足違いで父親とコケールに行ったとのこと。見ると遠くにその親子の姿がありました。
名前を呼び、彼らの後を追うアハマッド。結局、コケールから来てコケールに戻る形になりました。 何ともついてません。アハマッドは彼らを追いつつコケールに戻って来ました。

そんな時、思わぬ邪魔が入りました。アハマッドのお爺さんです。彼は友達の家でお茶を飲んでいましたが、孫の姿を見て呼び止めます。そして家に戻って自分の煙草を持って来るように言います。急いでいるから~と言っても、母親同様聞く耳持たず。しかたなく家に煙草を取りに向かいました。
お爺さんは本当は煙草は持っていたのですが、目上の人を尊重し、一度で言われた事がきける、礼儀正い人間になる為のしつけとして言ったのだと友達に言いました。

why  何その理由? しつけの為に用事があって急いでる孫に手元にある煙草を取りにいかす? 意味不明ですね~(^_^;)  わかりたくもありませんが。。。

自分は父親に厳しくしつけられたせいで礼儀正しい人間になれた、おこずかいは週に一度しかもらわなかったが、4日に一度は殴られたと、友達に自慢気に言うのです。 とんだ勘違いですね。 その結果がこうゆう年寄りになるのだと思うと、そのしつけは間違い。
大事なのは人の話をきちんと聞ける大人、そして人を思いやれる大人になること。そんな人間にしつけて欲しかった。この祖父と母親を~(-_-;)
 
結局煙草は見つからず、祖父に報告に来ると、その家に来ていたドアの取り付け業者のような男が、アハマッドの持っていたノートを1枚欲しいと言います。
仕事のやり取りで書いておきたいことがあるようです。 紙ぐらい持ち歩きなよーと言いたい。
友達のノートだからと断るものの、結局は1枚破かれてしまいます。先生も1枚ぐらいはわからないとゆう勝手な男の言い分には開いた口がふさがりませんね。  泥棒?
その会話の中、男の名前がネマツァデと知ったアハマッドは、「ネマツァデさん?」と聞きますが、その事には返事もせず、ロバにまたがり行ってしまいました。
何? ノートを1枚破ってもらっていながら、返事もしない? 耳が遠いの? 失礼な男です。
名前が同じなのでノートを持ってきた友達の父親だと思ったアハマッドは、全速力で走り、ロバの後を追いますが、このロバが意外にも速い。そして坂とか階段もなんなく上がって行くんですね~大きな男を乗せてるのに~妙な所で感心してしまいました。

さてやっとの思いで、男の家にたどり着くと男の息子と思われる子供が手伝いをしていましたが、残念ながらその子は探している友達ではありませんでした。その子が言うにはどうやらその辺りはネマツァデとゆう姓が多いらいのです。しかしその子がアハマッドの探してるネマツァデの家らしい場所を教えてくれました。そこは鍛冶屋の近くらしいのです。辺りはだいぶ暗くなり始めていましたが、アハマッドはその家を目指して歩きます。
そして中から音が聞こえる鍛冶屋らしき家が見つかったので、その家だと思ったアハマッドは呼びかけてみました。でも中から出てきたのは老人でした。
訳を話すとその親切な老人は彼らの家まで案内をかってでてくれました。
老人は飾りドアや窓を造る職人さんらしく、最近のドアが鉄製になって、自分の木のドアの需要が少なくなったことを残念がっているようでした。
自分の造ったドアや窓の前を通る度に、綺麗だろう~40年たっても何も変わっていない。。
そうアハマッドに自慢しました。そして弟や甥の話などもしてくれました。日が落ちて暗くなる中、坂道を歩く二人のシルエットは、まるで本当のお爺さんと孫のよう。
光と影のコントラストも、
夜の闇の中で浮かび上がる飾り窓も美しく、老人の話も相まってノスタルジックな気持ちになりました~ それまでの威圧的な大人達とは違う、老人の優しさにほっこりした、一番好きなシーンです。
途中老人は水で顔を洗い、アハマッドにも勧めましたが、先を急ぐ彼は断りました。その時、老人が花をくれました。ノートに挟んでおきなさいと言われた彼は、花をもらいその通りにします。
老人はここで待っててあげるから、ここから先は一人で行きなさいと言いました。目的の家に着きましたが、どうもその家は違うような気がして、ドアもノックせずに戻ってきました。

老人はアハマッドの歩くスピードに着いて行けず、息が荒くなります。夜の闇の中、一刻も早く帰りたいアハマッドは、「もう少し速く」と言います。おもしろかった会話は
老人    「息が切れた。話をしないと速く歩けるんだが」
アハマッド 「じゃあ黙って歩こうよ」
老人    「そうしようか」
ハハハ それだけ老人もたくさん喋ってたってことですね~何だか楽しい(笑)

それでも老人は疲れたようで、ついに先に行くように言います。
アハマッドはその言葉を待っていたかのように走って行きました(笑)でも見知らぬ土地で電燈もない暗がりで聞く犬の吠える声や、風の音が怖くて、そこから先には進めません。そうこうしてるうちに老人がやってきました。噛みつかれそうで怖いと、先に行けない理由を言うと、だから一緒に行こうと言っただろう?と言います。老人の家の前で二人は別れました。「神様がお守りくださるように」そう言って老人は見送ってくれました。  優しい~この人が本当のお爺さんなら良かったのに~とチラッと思った私でした。

家に戻ったアハマッドは元気がありません。それはそうよね~ノートを返せなかったんだもん。食事もいらないと言います。そんな彼に母親は、しきりに夕食を勧めますが、ついには根負けしあっちの部屋で宿題をやりなさいと言います。 アハマッドが学用品を持って移動するとき、母親はドアを開けてやり、息子の頭に手を添えていました。
そしてあれだけいらないと言ったにも関わらず、食事を部屋に置いていきました。彼は宿題を始めます。このシーン、ちょっと母親の愛情を感じて、ほっとしました。

翌日、先生はみんなの宿題のチエックをしていました。
友達はノートがなく当然、宿題ができなかったので、もう半分べそをかいていました。
少し遅れてきたアハマッドが友達に聞きます。「先生は宿題見た?」と。。。そして次に「宿題やってあるからね」とノートを出します。
先生が来て、アハマッドの宿題のチエックが終わりました。いよいよ友達の番です。
先生はノートをめくりチエックすると、「よろしい」と言いました。

そのページには、あの時老人がくれた花が挟んでありました。

と、まあこんな内容で、結局、友達の家も見つけられず、ノートも渡せなかったのですが、最後に考えて自分が友達の分まで宿題をやっていったのです。
当日少し遅刻したのは、前の日に二人分の宿題をやり寝る時間が遅くなったのだと思います。
誉められた事ではないかもしれませんが、彼は退学とゆう緊急事態から友達を救う事はできました。ノートは渡せなくても遠い村までも走り、ノートを返す為に最大限の努力をしました。
母親は、どうして友達への責任を果たそうとする息子を叱るのでしょう。むしろ誇らしいと思うのですが~親のゆう事が絶対の時代だったのか、お国柄がそうなのかわかりませんが、煙草を持ってこさせた祖父と同じで、目上の人の意見を聞くのがしつけと称して、子供の心を封じ込めてるのは見ていてつらいものがあります。 そんな威圧的な大人の中にあっても、友達の住む村へと走った少年の純粋さや、ひたむきさには心を打たれるものがありました。
してやったりのラストは、スカッとしました。平凡なストーリーですが、ほっこりできます。
興味のある方は、ぜひごらんくださいね。

主人公アハマッド 友達ネマツァデ 二人とも一般人です。そして本当の兄弟。
この監督は素人しか使わないとゆうポリシーのようです。アハマッド役の子の大人の勝手な言い分に困惑する表情が何とも言えません。大きな瞳にカールしたマツゲがキュート。
友達ネマツァデ役の子も、泣いてる顔がリアル。どうやって演技指導してるのか知りたい。

 個人的には、とても良い映画だったな~と思いました。