ミッドナイトスワン
体は男性だが心は女性のトランスジェンダー凪沙（なぎさ）は、東京新宿のニューハーフ達がショーを繰り広げるお店で働いている。
そんな彼の元へ故郷の母親から電話があり、育児放棄された親戚の中学生の娘、一果（いちか）を、少しの間預かって世話をしてほしいと頼まれる。
母親は息子がトランスジェンダーとは知らず、彼もまた母親と電話で話す時は、息子としての会話をしているので、たとえ子供だと言えども、親戚の少女に今の生活を知られるのは、めんどくさい事だった。
困った凪沙だったが養育費も出すとゆうので、渋々一果を預かる事にする。
一果は親から育児放棄され、時に虐待された事もあり、孤独に生きてきたせいか 周囲に心を閉ざし自分の気持ちを言葉で伝えるのが苦手だった。 その反面感情が高まると椅子を投げつけたりと、抑えが利かなくなる面もあり、そんな気持ちを抑える為に、自分の腕を強く噛んで我慢するとゆう危険な状態にも時として陥る。
それを知った凪沙は心配で、一人にできず自分の働いている店に連れて行く。
そこでショーで使うバレエの衣装、チュチュに興味を持った一果は、近くのバレエ教室を覗きに行き、先生に声をかけられ、体験レッスンをした事から、バレエへの憧れや興味が広がっていく。
好きなものができた事で、少しずつ一果の表情も変わっていく。
そして金持ちの娘だが、どこか孤独を感じる桑田りんとゆう友達もできる。
凪沙との距離もバレエを始めた事でぐっと縮まり、それまでにない感情が湧いてくる。
先生は、一果の才能に気がつき、彼女を育てたいと思い、また凪沙も彼女の踊りを偶然に見る機会があり、何とか協力したいと思うが、バレエを極めるにはお金がかかる。
それでも、男性としての昼間の仕事を増やし、一果の夢を支えて行こうとした矢先、広島から一果の母親が、彼女を迎えに来る。 自分は変わった、迎えに来たよ～帰ろうとゆう母親に戸惑いながらも、帰って行く一果。
その後、凪沙と一果はどうゆう運命をたどるのか。。。。
と、まあこんな大筋のストーリーなのですが、 なかなか良かったです。
主人公の凪沙（なぎさ）を演じたのは、草彅剛君。
性に悩み女性として生きていくと決めてからも、今だ性転換手術を受ける事に迷い、故郷の母親にカミングアウトもできずにいる。。。そんなトランスジェンダーとゆうむずかしい役どころを体当たりで演じていたと思います。
そんな彼が一果を預かり、母性に目覚めていくのです。そして一果のバレエの夢は自分の夢となり、彼女のバレエを続けさせる費用を稼ぐ為に、男性として昼間の仕事も始めます。 女装してた時の草彅君から、ガラッと変わって本来の短髪の男性の姿になった時は、「やっぱり、こっちの方がいいわ～」と内心思ったくらい、さわやかでした。
それにしてもバレエとかピアノとか、習い事はお金がかかりますね～(^_^;)
昼間の力仕事は苦手で、怒られてばかりなので、そんな姿を見ると胸が痛みます。
けれどそんな凪沙を何と一果が「お母さん」と呼んでくれました 二人はそっと抱き合います。
まさに凪沙にとっては最高の瞬間ですね。一果にとっても、こんなに自分が愛されたとゆう経験はなかったのではないでしょうか～観てるこちらも胸キュンのシーン。
しかし～いい流れになってきたところに母親が登場。 酒浸りの生活から抜け出し今は変わる事できた。。。と、娘を連れに来たのでした。 冒頭で酒に酔って、変わりたいと思ってるけどダメなんだ。。。そんな事を言ってたシーンがありましたから、ある意味それは本音だったのでしょう。
母親もまた、自分なりに変わろうとしてたのですね。 彼女なりに娘を愛してた。
（この母親役が、水川あさみさんとは、まるでわかりませんでした～飲んだくれの母ちゃん役、みごとに熱演）
立ち直って娘を迎えに来たわけですから、喜ぶべき事なのに、「え～？ 来たの？ 今？ 来なくていいのに～」と思ってしまう自分がいました。 いけませんね～(^_^;)
そのことがあり、その後の凪沙の生活も、ガラッと変わってしまいます。
良かった解放された～もう世話しなくていいんだ～と思い、前の生活に戻れたなら、どんなに良かったでしょう。
しかし一果の夢の為に頑張って働いた毎日、一緒に食べた食事
自分のやるべき事が見つかり、存在価値を感じ、充実した日々 割り切るには母性が強くなり過ぎていました。
それがあっとゆう間に失われた喪失感は、計り知れないものだったのでしょうね。 切ない！
凪沙や一果だけでなく、凪沙の店で働く仲間や、バレエで知り合った何不自由なく暮らしてるような友達のりん。。。そして一果の母親も。。。
誰もが何かしらの問題を抱えながら生きているんだな～とわかります。
切なくも悲しくもなりますが、それでもささやかな夢が生きる希望となり、人生が変わる事もあります。
二人が別れてからの事は、あえて書きませんでしたが、自分のラストの気持ちを下の2行に込めました。
↓
一果ちゃん 夢に向かって世界に羽ばたいて。。。
あなたに夢を託したもう一人の母親、凪沙の為にも。。。
そう思わずにはいられませんでした。 彼女は「見てて」と言いながら、白鳥となり舞台へと出ていきます。
あとは ぜひ劇場でごらんくださいね。
この作品は海外からの注目も高く、今月末には台湾での公開が決まっているようです。
この作品で新境地を開いた草彅剛君 一果役をオーディションで射止めた新人 14歳の服部樹咲さん
今後のご活躍を期待してます。
監督 内田英治 （Netflixオリジナルシリーズ全裸監督など）
（おまけの一言）
一果の母親役が水川あさみさんとは、まるで気がつきませんでした。
昔は確か氷川（ひかわ）あさみさんだったと思いますが、今は水川（みずかわ）に改名されてるようです。
ＷＯＷＯＷでやってた『ダブル・ファンタジー』とゆう官能ラブロマンスのドラマの主人公をされていたのですが、
イメージが違い過ぎて、メークなどのせいもあるとは思いますが、まるで気がつきませんでした。
ほっそりとした方ですが、この役ではそうも見えず、 酒に溺れ、変わりたくても変われない自分に、自分自身でも嫌気がさし、その気持ちをつい娘にぶつけてしまうとゆう、やさぐれた母親役を出番は少ないですが、みごとに演じてたな～と思いました。
違うイメージの役を見せてくれると、新鮮でいいですね。
そうゆう意味では草彅剛君もこうゆう役へチャレンジして、枠にはまらない役者への道を1歩踏み出した気がしました。 頑張ってください！
