私のシネマワールド

映画の事を中心に、気の向くままに書いております。

リヴァプール、最後の恋

                    リヴァプール最後の恋

f:id:you1825m:20210421175535p:plain


イギリスの俳優ピーター・ターナーが発表した回想録を原作にした、大女優と若手舞台俳優の恋を描くラブストーリー。4度の結婚歴を持つ女優に『キッズ・オールライト』などのアネット・ベニング、彼女と結ばれる舞台俳優を『ジャンパー』などのジェイミー・ベルが演じる。『ラッキーナンバー7』などのポール・マクギガンがメガホンを取った。

              ストーリー
 1981年9月29日、ピーター・ターナー(ジェイミー・ベル)は、かつての恋人グロリア・グレアム(アネット・ベニング)がホテルで倒れたという知らせを受ける。彼は、「リヴァプールに行きたい」と頼み込むグロリアを自分の実家で休ませるが、彼女は何の病気か教えてくれなかった。主治医に問い合わせ彼女の死期が近いことを知ったピーターは、二人で過ごした懐かしい日々に思いをはせる。        ( シネマトゥデイ より )                                     

 

         f:id:you1825m:20210422103610j:plain

親子ほど年齢の離れた往年の大女優グロリア・グレアムと駆け出しの若手舞台俳優の実話に基づくラブストーリーです。 

かっての恋人だったグロリアが倒れ、「リヴァプールに行きたい」とゆう願いを戸惑いながらも聞き入れ実家に連れて来たピーター 実家で過ごした時間を主軸に、二人が知り合った日から今までの事を過去と現在を行ったり来たりしながら、物語は進んでいきます。

 

二人が知り合ったのは、グロリアがピーターの住むアパートの新しい住人となったからで、ドア越しに発声練習をしている彼女を見ていると、アパートの管理人が昔の大女優よと教えてくれました。そんなある日彼はその元大女優のグロリアから声をかけられます。この時の「ヘイ」とゆう声が、すごく可愛らしくて印象に残ってます。

 

一緒にディスコダンスを踊ってくれる相手を探してるんだけど、お酒をおごったら一緒に踊ってくれる?    唐突な申し出に驚きはしたものの、結局彼女の部屋で2人でノリノリでディスコダンスを踊ります。

けっこう私はこのシーンが好き。グロリア役のアネット・ベニングはスタイルもいいし、ダンスもなかなかさまになっていました。ピーターのほうもノリノリで踊り、これがきっかけで2人は一緒に映画を観に行ったりお酒を飲んだりするようになります。

 

           f:id:you1825m:20210422015257j:plain


ある時彼女はロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(主にシェイクスピアの作品を演じている有名な劇団)に入り、 ジュリエットを演じたいと言いました。  

それを聞いたピーターは「ジュリエット?  乳母だろ?」と言います。

それに対しグロリアは、「ジュリエットやるには年寄り過ぎる? 」 「私をおばあさんだと思ってる?」 「私はあなたには年寄り過ぎる?」と言い、「あなたは間違ってる、私は今から劇場に行ってお芝居を見てライバルを偵察するわ、ありがとう」と言いつつ、謝るピーターの言葉に耳をかさず、部屋を出て行こうとします。かなり気分を害したご様子。

この時ピーターが彼女を引き寄せ口づけをします。グロリアはあれほど怒っていたのに彼の首に腕を絡め、熱い抱擁を。。。

ここから二人の甘い恋人生活が始まります。

                       

 と、まあここまでを見て思った事は、彼女は最初からその気があったんだろうなーとゆうこと。
なかなか初対面で自分よりかなり年下の若者にディスコダンスのお誘いはできませんよね。

 

「私はジュリエットをやるには年寄り過ぎる?」と言った時には「そりゃそうでしょう」と心の中でピーターに代わって答える自分がいました(笑)

私の中ではロミオとジュリエットと言えばオリビア・ハッセー 映画で観た彼女のみずみずしく美しい姿がずっと残っているので、今のグロリアとジュリエットは重なりようがないのです。

舞台と映画は違うのはわかります。観客とはある程度の距離があり、化粧をして舞台に立てば、オスカーを手にしたくらいの女優の演技ですから、人を魅了できるかもしれません。
でも演技力だけでない内から放たれる初めて恋した少女のトキメキは伝わる事がてきるのか? 4人と結婚し4人の子供を産んだ彼女から。。。なのでピーターが思わず「乳母だろ?」って口にしてしまったのも納得がいきます。それでも彼女は冗談として流さない。「あら〜 やっぱり?」と笑って言えたらいいのに。。。そこは実績のある女優のプライドなのかもしれませんね。華やかに主役をしていた頃の自分から老いてきた自分をわかっていながらも、受け入れられないとゆう切なさがヒシヒシと伝わってくるシーンでした。

ピーターが口づけしたのは、「私にはあなたはおばあさん過ぎる?」の答えなのでしょうか? 「ジュリエットは年齢的にふさわしいとは思わないが、自分はそんな事気にしないよ」そんな気持ちを伝えたかったのかもしれません。              

 二人はその後、グロリアの母や姉とも会い、恋人として良い関係で、アメリカで生活を共にしていました。  一番幸せだった時だと思います。

f:id:you1825m:20210421212134j:plain

 年齢を超えて、彼の前では少女のようにも見えるキュートなグロリア。

        f:id:you1825m:20210421170246j:plain  


         f:id:you1825m:20210421170117j:plain
                               

ではなぜ別れたかといえば、彼女が突き放したのてす。

 母親が電話で知らせて来てくれたオーディションの話を、ピーターが断っているのを偶然聞いてしまったからてす。

自分との生活を大切にするあまり、オーディションを受けに行く事をこばんだ彼を、このままにしてはいけないと思ったのでしょう。 若い彼には未来があるはず。
自分と会うまではまだ役者として食べていけなくても、他の仕事をしながらも役者を目指していました。自由奔放に見える彼女ですが、心の中で泣きながらも、ここでは大人の決断をしてくれました。彼に不信感を抱かせるような態度をあえてとったのです。その結果、喧嘩別れのようになりました。 ピーターのことを本当に愛しているんだなと思いました。

 
そんな形で別れたにも関わらず、ホテルで倒れた時には家族ではなくピーターのところに知らせがきたのです。 なぜに? 

 しかも「リヴァプールに行きたい」ピーターの母に会いたい、「ベラ( ピーターの母)が看病してくれるわ」と言います。とうやら過去にピーターの両親に会った事があるようで、二人とも彼女のファンのようでした。それだからと言って、家族でもない赤の他人の家に病気の者か身を寄せるなんて、図々しいにもほどかあるって思いますよね。
しかしピーターもその願いを聞いてしまいます。どっちもどっち(笑)

そして彼の両親は温かい気持ちで彼女を迎え入れ、2階の1部屋を提供してくれたのです。

彼女を歓迎し、看護するピーターとその両親。なんだか不思議な光景を見るようでした。

以前は年齢を超えて、2人は恋人同士のように思えるシーンもありましたが、病人となった彼女に寄り添う姿は、母親を介護する息子のようにしか思えませんでした。

f:id:you1825m:20210422022031j:plain


しかしピーターの兄は、なぜ家族がいるのに連絡もせず、他人の自分達の家にグレアムがいるのかが納得できない様子。 ごもっともです(笑)

そんな事で言い争いをしている様子を偶然見てしまったグレアムは知らない振りをして、「家族に連絡して」と言い出します。彼女も迷惑をかけるとわかってはいたのでしょう。それでも気持ちも体も弱っている時、1番そばにいて欲しかったのはほかならぬピーター そして温かい気持ちで過去にも接してくれた友達のような彼の母親だったのかもしれませんね。

身勝手と言えばそうですが、彼女らしく最後も自分に正直に行動したのだと思います。

彼女は迎えに来た息子と共に去って行きます。最後に口づけをして車を見送ったピーターの目に涙が  そんな彼を兄が優しく抱きしめます。とっても良いシーンでした。

 

彼女が帰る前に、ピーターは弱った体の彼女を少しの時間車で外に連れ出します。

そしてささやかなサプライズ。。。あえて書かないでおきますが、少し形が違っても彼女の夢を叶えてあげたのです。

       f:id:you1825m:20210422103717j:plain  
               f:id:you1825m:20210421223042j:plain

2人のこの時のやりとり、グッとくるものがありました。
この瞬間が持てて良かった、リヴァプールに来て良かったなぁと思いました。

 
ラストに助演女優賞の授賞式シーンがあり、本当のグロリアを見る事ができました。

やはりとても美しい方でした。4人の男性と結婚したと言う事はやはりその美貌も1つの要素になっていたのかもしれませんね。

でもこの映画を見る限り、晩年の彼女は発声練習をしたり、ストレッチをしたりして、過去の栄光に甘んじる事なく常に女優としての自分を管理していた気がします。そこがとても立派だと思いました。


彼女を演じたアネット・ベニングもとても素敵な女優さんですね。

自分に正直で自由奔放でありながらも、時には相手のことを思って身を引くこともできる、

プライドの高い女優でもあり、ある時は少女のような面もあり、そんな魅力いっぱいのグレアムをアネット・ベニングは素敵に演じたと思います。

まだまだ書いてない事がありますが、実際の映画俳優の名前が出たりして、それもちょっとしたお楽しみでした。

それにしてもピーター役の ジェイミー・ベルは、あのリトルダンサーの少年だったのですね。
見てる時は全然わかりませんでした。あれ以後の作品は見てないのですが、良い意味で個性的過ぎず、この役には合っていたような気がします。今後の活躍が楽しみです。

 皆様 機会がありましたら、ごらんくださいね!