私のシネマワールド

映画の事を中心に、気の向くままに書いております。

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

 9人の翻訳家 囚われたベストセラー 

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『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』を見ました。
世界的ベストセラー小説三部作「デダリュス」の完結編の出版権を得た出版社社長 エリック・アングストローム(ランベール・ウィルソン)は、完結編を世界同時に発売する為、各国の選ばれた9人の翻訳者をフランスの人里離れた豪邸に集めました。 

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そこでは外部との接触はいっさい禁止で、携帯もPCなどの通信機器も没収され、使うことはできません。また常に彼らの行動は男達により監視されています。
仕事はこの豪邸の地下室で行われ、毎日20ページだけ渡される原稿を翻訳していきます。
食事は豪華で、週1日の休みにはプールやボウリング場もあり楽しめます。 時にはパーティーも。。。
外部との接触ができない事を除けば、食事や施設的な環境は悪くなさそうです。

f:id:you1825m:20220102124556j:plainそんな中、ついに事件が起きてしまいました。
原稿が流出したのです。出版社の社長の元に、デダリュスの冒頭の10ページをインターネットに公開したとゆうメールが届くのです。それだけではありません。24時間以内に500万ユーロを払わないと、次の100ページもネットに公開すると書いてあります。
そして最後にある事が書かれていました。それはこの場所で、仲間といなければ決してわからない事でした。

犯人はこの中にいる。。。。そう確信したエリックは、犯人が見つかるまで翻訳作業の中止を命じました。翻訳家の中に犯人がいたとしても原稿を渡さない限り、100ページまでの内容は誰も知らず漏れる事はないはずだからです。しかしそれは甘い考えでした。 さらに100ページが公開されてしまいます。怒り心頭の社長、エリックは犯人が名乗り出るまで彼らには何も提供しないと言い放ち、追い詰めていきます。電気も使えない暗がりの地下室で、彼らはどうなっていくのでしょうか。。。

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そもそも彼らの中に本当に犯人がいるのでしょうか? 後半は犯人捜しとなっていきます。 はい、ここまでがざっくりとしたストーリーです。
この作品はミステリーなので、全部書くと面白さが半減すると思いますので、ここから先は、あえて書きません。

           感想

最初は大きな展開もなく、どちらかといえば密室とゆう限られた場所でのシーンばかりなので、これ退屈しそうな気が~と思いましたが、デダリュスの冒頭の流出とゆう事件が起きてから、ぐっと面白くなってきました。
まだ世に出てない冒頭の内容を知るのは、出版社の社長エリックと20ページずつ原稿を渡された翻訳家達、そして作者だけなのです。
しかし、彼らは冒頭の内容は知っていても、外部に漏らす手段がないはず。それにこの小説を愛し作者を尊敬している様子で、そんな事をする意味がわかりません。ここからの犯人探しの後半が、がぜん面白くなりました。
翻訳家達は、共に休日を過ごしたり、食事をするうちに、少しずつうちとけて、友情らしきものも芽生えてくるのですが、その矢先にこの事件。
仲間を疑う事になるとは、何とも残念な事でした。

それにしても出版社社長のエリックの扱いは、あまりにも非道です。
いくら何でも電気も使えず、食事も与えないなんて、間接的な殺人と言えるレベル。
人間の命より、ビジネスを優先する人間性が、はっきりわかる行動。

ありえんだろう〜何か隠してると思ったのか、こんな姿までさせて〜

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ま、確かに怪しい人物も数人いるにはいたのですが。。。
後半は社長に腹を立てつつも、私達見ている側も、翻訳家達の一挙手一投足に集中する時間帯になりました。
犯人は誰? そしてこんな事をする理由が知りたいですよね。お金?
それは少しずつ明らかになってきます。この作品は過去の回想シーンが多く時系列が少しバラバラだったりして、わかりずらいと思われる方もいられると思いますが、見てるうちにこのシーンはどうゆうシーンだったのかが、パズルを埋めるかのようにわかってくるワクワク感。ちょっとどんでん返し的なラストは、個人的には楽しめ、ミステリー映画の面白さを感じました。

翻訳そのものの仕事のシーンはあまりなく、もう少し見たい気もしましたが、限られた時間内にあれもこれもと詰め込んでどれも中途半端になるよりも、これはこれで良いのかな~と思いました。
この映画は、シリーズ4作目となる「インフェルノ」の出版の際、違法な流出を防ぐ為、各国の翻訳家を外から遮断された地下室に集め、翻訳させたとゆう実話を元に描かれているそうで、そう考えて見ると、さらに面白く見れそうですね。見れる環境にある方は(私は Netflixで見ました)ぜひご覧くださいね。

2019年 フランス、ベルギーサスペンス映画  105分
監督  レジス・ロワンサル
キャスト ランベール・ウィルソン オルガ・キュリレンコ  
    
                       

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皆様、楽しい三が日をお過ごしになられたでしょうか。。。
ご挨拶が遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。  今年もよろしくお願い致します。